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2011.02.12 Saturday
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「占星術殺人事件」(島田荘司)レビュー
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2008.01.23 Wednesday 00:58
「なんだ、御手洗も、私と同程度なら大したことないな」と思いましたが、問題なのはその後でした。その10ページほど後に、作者から読者に「挑戦状」が書かれてあったのです。「私は読者に挑戦する」「一人でも多くの読者にこの謎を解いて欲しい」と・・・。でも、すでに解いてしまっていたので、非常に興ざめでした。さらに、少し話が進んだあとで「第二の挑戦状」まで出てきました。しつこい。
全体としては、長い話なのですが、非常に読みやすくて、途中から読むのをやめられなくなりました。西洋占星術には全く興味がないのですが、怪しさを際立たせる点ではよかったかと思います。石岡君があちこち奔走する場面は、全体の構成を考えると、やや冗長かと思いました。逆に、犯人について、動機や犯行後の人生などがもっと詳しく書かれると、より面白かったかと思います。御手洗の、大衆に対する批判的な発言が目立ちましたが、うなずけるものが多かったです。
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「木に学べ ― 法隆寺・薬師寺の美」 (西岡常一)レビュー
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2008.01.20 Sunday 22:31
先日、奈良に小旅行に行くことになり、せっかくだから何か予備知識を深めておこうと思い、「予習」として本書を読んでみたのでした。読んでいるうちに、法隆寺、薬師寺を見るのが本当に楽しみになってきました(小学校の遠足以来2度目でしたが、実質初めて行ったのでした)。
実際に訪れたときは、本書に書いてあったことを一つ一つ思い出しながら、細かいところまで確認しながら、長い時間をかけてじっくりと見て回ることができました。今後、奈良方面、特に法隆寺、薬師寺に行かれる方は、ぜひ西岡氏の著書を読んでおくことをお勧めします。何も知らないで、ただの古い建物、世界遺産の一つ、くらいに思って観光するのはもったいないです。類書として、「木のいのち木のこころ―天・地・人(西岡常一, 小川三夫, 塩野米松)」もあります。
■本書で印象深かったところ:
・樹齢千年のヒノキを使えば、建造物は千年もつ。(ヒノキは丈夫。鉄、コンクリートより強い)
・古代の建築でも、昔のほうがよかった。室町時代の改築では、飛鳥時代より質が悪くなっている。
・飛鳥時代の建築は、構造を良く考えてあり、機能美がある(法隆寺の回廊の「束」、「皿斗」など、細部まで)。日光東照宮などは、装飾ばかりで、まともな「建築」ではない。
・学者は、木一本一本のクセを考えず、寸法、形、様式で語ろうとする。話にならん。
・法隆寺を解体して、飛鳥時代の人は一本一本の木のクセを見抜いて、上手く組み合わせてバランスをとっていることが分かった。
・薬師寺は、東塔より、再建した西塔のほうが創建時の形を残している。(東塔は、修復のたびに、その時代の方法が使われたため)
・「飛鳥時代に学者はおりません。大工がみんなやったんやないか。その大工の伝統をふまえているのだから、われわれのやっていることは間違いないと思ってください」
・鉄は、飛鳥時代のように、砂鉄から作ったものなら千年でも大丈夫だけれど、最近の溶鉱炉から積み出したような鉄はあかん。
・宮大工の技法の受け継ぐのは難しい。実際に仕事をしながら覚えないといけないが、その機会が少ない。
・木は呼吸をしている。日本の建築は、日本で育った木が一番いい。「木を買わずに山を買え」。
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「キッチン」(吉本ばなな)レビュー
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2008.01.13 Sunday 05:21
「キッチン」(と続編の「満月」)は、主人公が祖母に死なれて、他人の家に居候して、孤独を感じながら過ごし、その家の大学生との恋愛が・・・という単純な話。ストーリーは全く面白くないし、まとまりがない。登場人物のキャラクターも薄っぺらくて、描写が淡々としていて、「死」についても軽く触れるだけで、全体的にあっさりしすぎ。
個々の場面での登場人物の心理描写や発言が、一部の女性読者には、ツボにはまって共感されるのだろうと想像できるが、私にはよく分からない。なぜこんな発言をするのだろう?なぜそう考えるのか?と不思議に思うことの連続。最も理解できないのは、みかげがカツ丼を持ち帰りで買って、タクシーに乗るところ。もうわけが分からない。
おまけで付いている「ムーンライト・シャドウ」も、死んだ人が見えるようなことが書かれてあるが、どういう現象なのか明確に説明されていないので、さっぱり分からない。
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「すべては「単純に!」でうまくいく」(ローター・J・ザイヴァート,ヴェルナー・ティキ・キュステンマッハー)レビュー
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2008.01.13 Sunday 03:26
■本書で、個人的に参考になった部分:
・散らかっていることと、仕事への意欲とは似たような関係にあります。つまり散らかっていると、物事を先に延ばしがちになるのです。
・床に物を置かないようにすること。
・本当は「ノー」と言いたいのに「イエス」と言ってしまうとき、誰かに操られている場合が多い。きっぱり自信をもってノーと言うことが重要。
・ネットワーク作りは、「初めから」相手を受け入れる姿勢を示すこと、相手にまとわりつかず向こうから自然に近づく機会を作ること、計画的に行なうこと。
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「冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見」 (ジム・ロジャーズ)レビュー
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2008.01.13 Sunday 01:35
個々の旅先での出来事とそこで得た教訓、また著者の見解が述べられています。多くに国を訪れ、役所仕事、市場、日常生活などの現場を見てきた人にしか分からない、重要なことが多く書かれていると思います。
■本書で印象に残っている部分:
・今後数百年の間に、世界の言語は30ぐらいになるだろう。(マイナーな言語は消滅する)
・今日、世界には200の国がある。今後30〜50年の間に、この数は300あるいは400にまで増えるだろう。(民族主義の勃興で、分裂が増える)
・トルコは、長期投資にはうってつけの国になるだろう。
・19世紀が大英帝国の、20世紀が米国の世紀であったとしたら、21世紀は中国の世紀である。
・韓国の保護主義は群を抜いて強い。韓国の繁栄は似非であり、韓国に住んだり韓国でビジネスをするのはやめたほうがいい。投資をするなんて論外。
・日本の問題は、人口構成、少子高齢化にある。しかし日本の人種差別はひどく、移民を受け入れず、父母が日本で生まれていても日本人の血が流れていなければ参政権がもらえない。
・従来、世界、特に米国は、パスポートやビザなしでうまくいっていた。本来、ないほうがいい。ユーロは、それを推進する重要なもの。
・ナイジェリアはひどい。国として生き残るとは思えない。
・南アフリカは、アパルトヘイト解消後も、改善されていない。黒人の教育がされておらず、汚職も多い。
・アフリカで観光するなら、タンザニアが一番。
・アメリカで教会に衣服を寄付しても、アフリカの悪徳業者に横流しされるだけ。アフリカの人の職を奪うだけ。
・アフリカでは、タンザニア、エチオピア、モーリタニアは改善に向かう。
・アフリカ等で、NGOは、自己目的化した巨大産業。海外援助のほとんどは、外部のコンサルタント、地元の軍部、腐った役人、NGOの代表者、メルセデス・ディーラーの懐に収まっている。道さえないところにメルセデスのディーラーがいるのだ。
・サウジアラビアでは、生活習慣は古くて単純だが、インフラは立派。空港、高速道路、港、ビルなどは最新。
・パキスタンは不安定。そのうち複数の国に分裂する。この国の洗濯屋のシステムは、不思議なほど見事に運営されている。
・インドには品質という概念がない。世界市場では競争できない。男尊女卑もひどい。
・ペルー、ボリビアは有望。人は、長い戦争が終わったところへ行くべき。
・バンクーバーは、自然環境に恵まれ、多くの外国人もいる。100年後あるいは数百年後には、世界最大の都市の一つになるだろう。
・アメリカ人の多くは、他の国について無知・無関心すぎる。自国のことも本当はよく分かっていない。
・グリーンスパンは失敗し続けた。
・1000年後、どの文化が頂点を極めているか、誰にも分からない。1000年前、世界最大の都市はスペインのコルドバだった。
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