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「「捨てる!」技術 」(辰巳渚)レビュー
本書の趣旨には大いに賛同します。不要なもの、使わないものはどんどん捨てるべきであることは、私も最近実感しています。そうすれば、快適な住まいが得られ、身軽になれるし、本当に重要なこと・必要なことに集中できるのです。

本書では特に“聖域”を作らないこと、思い出のモノ・記念のモノ、本や資料も捨てるべき、と説いている点が評価できます。モノを神聖化し、モノに依存しすぎる生活は虚しいものです。思うに、例えば、旅行の土産、結婚披露宴の引出物など、人からもらった物は捨てにくいという風潮が世の中にはあるようですが、やはり捨てたほうがすっきりしますね。そもそも、旅先で土産物を買うというのは、ゴミを増やすだけで環境に優しくない風習だし、結婚披露宴の引出物は、もらっても邪魔になるだけで、数ヵ月後には、誰からもらったかも忘れてしまいます。もっと言えば、結婚式・結婚披露宴というイベント自体、招待されても迷惑なだけで、世の中から消えるべきです。「ゼクシィ」なんて廃刊すべきです。世の中、無駄なものが多すぎるのです。

……話は逸れましたが、それにしても、収納術/整理術ではなく「捨てる」ことだけで1冊の本を書くのは、やはり苦しいのでしょうか。同じことが繰り返し書かれたり、どうでもいい事例が多すぎます。読者の視点に立てば、物品別・条件別に、捨てるか捨てないかの基準をリスト化して書いてくれるだけでいいのですが。本書の論調は、捨てること自体を自己目的化しているようで、「捨てる!キャンペーン」のようなものを普及させて、著者がその総帥・教祖として君臨しようしているのでは?とさえ思えてしまいました。

■本書で、参考になった部分:
・捨ててしまって「しまった!」というモノも1つや2つあったかもしれないが、もう覚えてもいない。
・3年(あるいは一定期間)使わないものは、今後も使わない。いらないもの。
・他人が「便利」と勧めるものでも無駄なものはある。先入観を持たず、捨てる。
あなたが死ねばみんなゴミ。死ぬ前にすっきりさせたほうが気持ちいい。
・まず「これは捨てられるのでは」と思えるもので、捨ててしまってほんとうに困るものはほとんどない。捨てては困るものは、捨てるはずがない。
・一定量を超えたら捨てる。新旧交代をスムーズに。必要数を決めるといい。
・使い切らなくても、試しに一回使ったんだからと納得して捨てる。
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|自己啓発・能力開発 | comments(0) | trackbacks(0) |
「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」(リリー・フランキー)レビュー
評価:
リリー・フランキー
扶桑社
¥ 1,300
(2005-06-28)
「泣ける本」として各所で評判になっており、私の知人も「これは泣ける。1人で部屋で読まないと」と言っていました。だから私も、泣けるのを楽しみに読んだのですが・・・。どこが泣けるポイントなのか最後までよく分かりませんでした。オカンが亡くなるところで泣けるのかなーと思ったけど、泣けませんでした。確かに、読んでいて一番辛い部分ではあったけれど…。そして、その次に、例えば、オカンの死後、オカンが残したものを見て、何か衝撃的な事実が発覚したりして泣けるのかなーと期待したけど、それもなかった。本書より泣ける本は他にもあると思ったし、きっと、著者にとっても、読者を泣かせるつもりで書いた小説ではないと思います。

私が本書で最も価値があると思ったことは、通常なら恥ずかしくて表に出しにくい話を、堂々と具体的に分かりやすく示していることです。学生時代の無気力な生活や、貧しく困窮した生活、近親者の病床での姿など、あそこまではなかなか書けないと思います。オカンへの強い思い入れ、誇りに思う気持ちがあるからこそ、そこまで書けるのだろうと思いました。本書を読むと、親孝行をどうするべきか、親が最期を迎えるときどうするべきか、など考えさせられます。

本書の中で一箇所、読んでいて、はっとした一節があります。
『・・・・・
自分だけのことで夢中になっていると、駆け抜けていようと転がり続けていようと、その時間は止まっているように感じる。自分しか見えず、自分の体内時計だけを見ていれば、世界の時間は動いていないのと同じだ。
しかし、ふと足を止めて周囲を見渡す余裕が一瞬でも持てた時、甚だ時間が経過していたことに気がつく。
自分ではなく、対象となるものに目を向けた時、どれだけ時間が止まっているように過ごした時でさえ、確実に日めくりはめくれていたのだということに気付く。
そして、その時にはなにかが手遅れになっていることに、もうひとつ気付く。
・・・・・』
自分のことばかり考えて周りが見えていない状態が続くと、何か取り返しのつかないことなる、ということは薄々感じていましたが、こう書かれると納得できます。

もう一つ本書で評価したい点は、この手の、昔の回想録のような小説には、恋愛が大きく扱われることが多いのですが、本書は恋愛に関する記述が少ない、というよりほとんど無かったことです。世の中には、もっと大事なことがたくさんある、ということをよく知らせてくれていると思います。
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|その他・国内男性作家 | comments(0) | trackbacks(3) |
「冒険投資家ジム・ロジャーズ 世界バイク紀行」(ジム・ロジャーズ)レビュー
かつてジョージ・ソロスと共同でクォンタム・ファンドを設立し、37歳で引退した投資家による、バイクでの世界一周紀行です。とにかくうらやましい。私も海外旅行は好きで、今まで35カ国ほど旅行していて、いずれは世界一周旅行もしたいと思っています。著者のように、若くして巨万の富を築いてリタイアし、専門知識(著者の場合、投資)を生かしながら、世界中を旅することができたらどんなに幸せだろうと思います。

本書には、投資や国際経済について、示唆に富んだ考察や経験談が多く盛り込まれています。特に、行く先々の国での、出入国時の手続きの理不尽さ、通貨の状況(公式なレートとブラックマーケットのレートの差など)、株式市場の状況(実際に投資をしながら)について説明し、その国の経済の健全性、その国が買いか売りか、を評価しようとしている点が興味深いです。

■本書で印象深かった部分:
・国家統制主義は絶対悪である。
・旧ソ連は、民族・言語・宗教の多様性のため、バラバラに割れ続けるだろう。
・中国は、21世紀前半には、世界最大の経済大国になるだろう。
・共産主義社会では、物価が抑えられ、生産意欲が出ないため、ろくな物が生産されない。
・保護主義は、消費者に不利益をもたらすだけでなく、保護された産業の活気・製品の品質が悪化し、結局は社会を駄目にする。
・ザイールのような国への対外援助は、悪い政権・独裁者を潤すだけで、意味が無い。それより、一度崩壊させ、自力で立て直させることが重要である。
・アフリカは楽観的に見ていい。アフリカ南部、特にボツワナは有望な国。
・オーストラリアのダーウィンは将来楽しみ。ニュージーランド、アルゼンチンの観光資源は魅力的。
・ラテンアメリカは活気が出てくる。そして、米国の国境を変えるほどの影響力を持つかもしれない。未来永劫続く国境はありえない。
・貯蓄と投資に対する課税は廃止すべき。
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|資産運用・株式投資 | comments(0) | trackbacks(2) |
「シャドウ」(道尾秀介)レビュー
評価:
道尾 秀介
東京創元社
¥ 1,575
(2006-09-30)
ミステリーとしての着想、ストーリーの骨子はいいと思います。テンポも良くて、半日で一気に読めてしまいました。ただ、どこか物足りなさが残ったまま、あまりにもあっさりと終わってしまったという感覚です。もっと、ディテールや人物の背景・心理描写にこだわって書いてほしかったと思います。精神疾患や幼児期の悲惨な体験を扱った小説という点では「永遠の仔」(天童荒太)に通じるものがあったかと思いますが、同書と比べると、人命や人間の心情の扱いが軽すぎて、登場人物への感情移入もできませんでした。

終盤で大きめのどんでん返しが2回ほどあって、それ自体は面白くてよかったのですが、伏線の張り方が少し弱かったせいか、「あぁ、なんだ、そういうつもりだったのか…」という程度の衝撃しか受けませんでした。もっと回り道をして、複雑で手間をかけた伏線の張り方をしてほしかったと思いました。特に、精神病に関することは、もっと取材をして、専門的な記述を多くしたらよかったのに…と、もったいなく思いました。
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|その他・国内男性作家 | comments(0) | trackbacks(1) |
「夜のピクニック」(恩田陸)レビュー
本書で楽しむべきポイントは、「歩行祭」というイベント、そして、友情・恋愛・血縁関係などの人間関係のドラマの2点だと思います。双方のバランスがとれていて読者を飽きさせないところが、名作と言われる所以だと思います。ただ、残念ながら、後者の人間関係の面はあまり楽しめませんでした。会話の内容があまりにも空疎で、登場人物の程度が低すぎるのです。進学校とはいえまだ高校生なのだから、せいぜいこの程度が現実的なのかもしれないのは十分承知していますが、それでも、もっと読者の知的好奇心を刺激させてほしいものでした。これでは、ノスタルジーも感じることができません。

ただ、「歩行祭」というイベントには感銘を受けました。本書は、その風情が上手く描かれていたと思います。高校生の頃に、このように苦痛を伴いながらも、一生忘れられないほど強烈に印象に残る経験をすることは、価値があるだろうし、自分の高校にもこんな行事があったらよかったのに…、と思うのでした。もっとも、もし自分がこの高校の生徒だったら、こんなイベントは面倒くさくてさぼってたかもしれませんが。
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|恩田陸 | comments(0) | trackbacks(3) |
「竜馬がゆく」(司馬遼太郎)レビュー
評価:
司馬 遼太郎
文藝春秋
¥ 620
(1998-09)
全8巻の長編ですが、長さを全く感じません。最終巻を読んでいて、物語が終わってしまうのが、残念で寂しくてなりませんでした。坂本龍馬の行動・発言・思想には、今の時代にも通じる普遍的なものが多くあり、大変刺激を受けました。特に、仕事のやりがい・理想を追究すること、また、人とは違うことをすることは、価値があり楽しいことでもあるという発想には共感できます。第6巻P.263〜264の以下のくだりに、その点が集約されています。
『・・・・・
「坂本さんの覚悟はなんですか」
とも、慎蔵はきいた。死生観のことである。
竜馬はちょっと考えてから、
「そんなものはないようだ」
といった。
生死などは取り立てて考えるほどのものではない。何をするかということだけだと思っている。世に生を得るは事を成すにあり、と自分は考えている
「事とは何ですか」
「しごとのことさ。仕事といっても、あれだな、先人の真似ごとはくだらぬと思っているな。釈迦や孔子も、人真似でない生き方をしたから、あれはあれでえらいのだろう」
・・・・・・』

坂本竜馬の他人に対する評価にも興味深いところがありました。特に、天才的な頭脳・策謀の能力を持つ清河八郎に対し、策謀だけでは、暗い、そういうところには人はついて来ない、と評していたところが印象的でした。

本書を通じて、学んだことも多くありますが、特に、大政奉還のような革命的な大仕事を成し遂げるには、いかに多くの人々が、いかに多大な労力を費やし、また、様々な外的要因が複雑に関連し合って、初めて可能となるということが分かります。そのような大事業を成すには、どのような人物がどのような役割を果たすべきなのか、ということが重要だということです。坂本龍馬以外にも、中岡慎太郎、武市瑞山(半平太)、後藤象二郎、板垣退助、岩崎弥太郎、高杉晋作、桂小五郎(木戸孝允)、勝海舟、西郷隆盛(吉之助)、小松帯刀、岩倉具視、徳川慶喜、など、各人が果たした役割を改めて振り返ってみると、歴史を学ぶことの重みを再確認できます。これは、今の時代に、何か大きな仕事をしようと考えている人にも、大いに参考になると思います。
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|司馬遼太郎 | comments(1) | trackbacks(1) |