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「容疑者Xの献身」(東野圭吾)レビュー
評価:
東野 圭吾
文藝春秋
¥ 1,680
(2005-08-25)
Amazonランキング: 217位
「このミステリーがすごい!」1位(2005年)、直木賞をはじめ、数々のタイトルを獲った作品ということで、期待しながら読み始めました。また、期待を裏切らない素晴らしい作品でした。犯行のトリックから細部の描写に至るまで、数学者である主人公の個性と思想が強く反映されていて、特に理系の人には楽しく読めます。しかし、何よりも、この小説そのものが、全体として冗長な部分がなく、全ての記述が存在理由を持ち、ストーリーの展開にも論理性があって、まさに作品自体が一つの数学の定理の複雑な証明のようでした。

ただ、読後感としては、どこかすっきりしない印象も残りました。例えば、トリックは、よくできているのですが、ミステリーを読み慣れている人なら、途中でトリックの大体の方向性は予想できるかと思います。また、泣ける話でもあるのですが、犯行の動機については、そんな人が本当にいるのか?という釈然としない思いも残ります。人物の背景の説明が少ないため、登場人物への感情移入の度合いが弱かったからかもしれませんが…。さらに贅沢を言えば、ラストの部分にもっとボリュームがあれば、もっと感動的だったかも、とも思います。
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|東野圭吾 | comments(4) | trackbacks(1) |
「不都合な真実」(アル・ゴア)レビュー
評価:
アル・ゴア
ランダムハウス講談社
¥ 2,940
(2007-01-06)
Amazonランキング: 848位
政治家が本を書く場合、どんな内容であれ、それは政治活動の一環だと思います。環境問題という、万人受けするテーマなのだから、なおさらでしょう。本書で一番いいたいことは、最後のほうに集約されているようですね。京都議定書への批准の問題、アメリカの地球温暖化への寄与率の高さなど、やはり、ブッシュ政権の政策、今のアメリカ社会の現状への批判、そしてその対極として自らのポジションを印象付けることが狙いなのだと思います。もし、本気で地球温暖化を阻止したいのなら「燃費のいい車に乗ろう」なんて自動車産業の顔色を伺うような書き方をしないで「自動車には乗るな、買うな」くらい言ってほしいし(アメリカ人には無理?)、自動車の温暖化への寄与率などもっと具体的なデータも示してほしい。万人受けすることではなく、多くの人(共和党以外にも)を敵に回すくらいのことを書いてほしいです。

ただ、そうした部分を割り引いたとしても、本書のコンテンツは非常に充実度が高いです。それは評価したいです。同タイトルのドキュメンタリー映画(まだ観てません)のコンテンツの抜粋のようですが、掲載されている写真や図表がどれも実に説得力があります。写真集としても十分価値があると言えるほどです。私が好きなのは、全世界の夜の衛星写真を合成したものです。アメリカ東海岸、西ヨーロッパ、日本の3地域は、夜中でも明るくなっているのが印象的でした。

全体的に、構成がごちゃごちゃしていて読みにくいところもありますが、それでもこれほど読者の興味を喚起するような形でデータ・写真・図表を多用し、分かりやすく、地球環境問題を採り上げた書籍は他にないのではないでしょうか。その意味でも一読の価値はあると思います。
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|ノンフィクション一般 | comments(0) | trackbacks(0) |