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「フラット化する世界」(トーマス・フリードマン)レビュー
評価:
トーマス フリードマン
日本経済新聞出版社
¥ 2,100
(2008-01-19)
本書のように、一つの新しいテーマ・視点(本書では「世界のフラット化」)について、膨大な時間と手間をかけて調査・取材し、多大な事例を交えて説明してくれる本は、なかなかありません。その点だけをもってしても、本書は読む価値が十分にあります。

読みながら思ったのは、日本のマスコミは日本と外国の関係を伝えることはあっても、外国と外国の間にビジネスの話はほとんど伝えていない、ということです。本書を読めば、諸外国の間でのビジネスのあり方の変化の実態が分かります。例えば、アウトソーシングにおいて国境の概念はもはや意味を持たず、インドや中国に、知的生産性の高い仕事も含めて多様な形でアウトソーシングが行われていることなどが分かります。

最も参考になったのは、上巻の最後のところで、「無敵の民」として新ミドルクラスに求められる資質が列挙してある部分です(下記読書メモ参照)。グローバル化・フラット化が進む世界で生き延びるにはどうすればいいか、ヒントが明確に示されており、大変参考になりました。一言で言えば、知識よりも知恵・ノウハウを持ち、他人に代替できない付加価値をつけられる人間、ということでしょか。

読後の印象としては、とにかくたくさん読んだなー、という感覚が強く、満足感はあるのですが、全体の構成が頭の中で再整理しにくいです。おそらく、本書の構成が、増補・改訂を重ねているためかもしれませんが、各章で話があちこちに発散しすぎて、結局何が言いたかったのだろう?と思ってしまう箇所も多かったです。

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■読書メモ(本書で印象に残ったこと):

◆メモ・上巻:

・"グローバリゼーション1.0"(1800年頃まで)の原動力は国、"2.0"(2000年まで)の原動力は企業のグローバル化、"3.0"(2000年〜)は、個人の競争、個人の共同作業。情報通信の技術革新が可能にした。
・コールセンター、会計作業など多くの仕事がインドにアウトソーシングされている。

○世界をフラット化した要因:
・ベルリンの壁崩壊で、ソ連・東欧・中国等の抑えられたエネルギーが解放された。
・光ファイバ・インターネット・ソフトウェアの進展により、国境を越えて知的な共同作業が可能となった。
・アップローディング(オープンソースによる開発、金鉱探索、ブログ、wiki等の例)の普及。参加の構造、フィードバックを得ること。
・Y2Kの対応作業委託を機に、インドのIT企業への信頼が高まった。
・中国は、WTO加盟により、内外に変革姿勢を示し、オフショアリングを加速させた。
・ウォルマートは超効率的なサプライチェーンを開発した。最近はRFIDを導入。
・UPSはインソーシングを実施。PCの修理など代行。
・グーグル、ワイヤレスアクセス等の技術革新。

○三重の集束:
・フラット化の要因より、グローバルな共同作業のプラットホームができた。
・指揮・統制が、垂直から水平に変わり、多くの人が共同作業するプロセスが生まれた。
・新たに30億人が、フラット化された「競技場」になだれ込んだ。

○大規模な整理:
・役所で、アウトソーシングを抑制し、税金を高くしてでも、地元の仕事を確保すべきという意見もあり、整理が必要。
・多国籍企業では、企業の「母国」の考え方が無意味になっている。
・フラット化により、上司も些細なこともできるため、共同作業が増す。
・ウォルマートは従業員の待遇が悪いため、医療保険等の面で、納税者の負担増になるが、安価な商品が買える。コストコは逆。どちらがいいか?
・知的財産の整理が必要。共同作業が増すため。また、メール、ネットサービス等のアカウントの本人死後の扱いなども。

○アメリカと自由貿易:
・世界がフラット化しても、壁を設けようとせず、自由貿易の一般原則を貫くほうが、アメリカの国全体として利益が得られる。
・知識基盤型の商品は、市場が広ければ広いほど売れる。肉体労働は、売り手が多く買い手が少ない場合もある。アメリカは、知識労働者を増やすことができれば、フラット化で栄える。

○無敵の民:
代替可能(デジタル化、アウトソーシング、オートメーション化できる)でない仕事ができることが新ミドルクラスに求められる:
・共同作業のまとめ役。
・異なる技術要素・ビジネス等を統合する合成役。
・複雑なものを分かりやすく説明する説明役。
・新技術を梃子に使い、業務改善をする梃入れ役。
・学び、成長する多芸多能なバーサタイリスト(何でも屋)である適応者。
・エネルギー・環境問題を扱うグリーンピープル。
・人間による属人的なサービスをするパーソナライザー。
・金融・検索等多様な分野で増大する数学の効能に応えられる数学好き。
・グローバルな競争力を現地のニーズに適合させるローカライザー。

◆メモ・下巻

○教育:
・IQより、CQ(好奇心)+PQ(熱意)が重要。
・幅広い教養、右脳の使用、音楽も有効。
・米国では科学者・エンジニアが不足している。科学技術を専攻する学生も減っている。成功願望が低く、努力を怠っている。優秀な科学者・技術者を育てるには15年かかるが、予算をかけていない。アメリカの産業は危機的状況を迎える。
・政府・企業は、労働者のエンプロイアビリティ向上に注力すべき。その上で、社会保険・医療保険制度を整備し、フラット化に対応すること。

○発展途上国:
・起業、雇用・解雇、契約執行、融資、破産・廃業、の5つが摩擦なしに単純な手続きで可能な国は繁栄できる。
・アイルランドは、ガバナンス、インフラ、教育の改革が進み、発展した。米国企業も多く進出している。

○企業:
・消費者が大物のように振舞える環境は有効(カスタマイズで可能となった)。
・専門分野は細分化している。価値のある仕事は企業の独力では無理で、共同作業が不可欠。

○個人:
・情報のアップロードにより「ローカルのグローバル化」が進んでいる。
・グラミン銀行のマイクロ金融は、無担保で回収率98%。貧困層は信用の高い融資先になりうる。
・フラット化のマイナス面:多くの人と接続できるようになったが、人との関係が希薄になった。個人のことがブログに書かれ訴訟に至ることも。履歴書は意味がなくなる。検索で個人のことが分かる。早めにしっかりしたキャラクターを確立しないといけない。

○地政学:
・フラット化した世界に住む人とそうでない人の境目は、希望を持っているかどうか。希望が持てない理由は、病気か政府の機能不全。
・マラリアは地球での最大の死因の一つだが、フラット化していない世界だけで年に100万人がマラリアで死ぬ。
・世界がフラット化したため、パンデミックへの対処能力は低下している。
・HPの事例:インド農村で、文字の読み書きができない村民の自尊心を刺激し、需要を掘り起こし、移動写真スタジオのビジネスを起こした。
・フラット化の源は「信頼」。テロリストは、それを攻撃し、フラット化を阻止しようとする。
・北京では一日1000台新車が増えている(2004年)。中国は世界2位の石油輸入国になった(2003年)。中国では今後農村から都市部への人口の移動も増え、エネルギー不足も深刻化する。
・マラッカ海峡に、中国は注意している。米軍が封鎖すれば経済的打撃に。
・グローバルなサプライチェーンが紛争抑止になる。インド・パキスタン危機回避の例など。
・インターネットは、合理性より不合理性を多く伝える。不合理性は感情的で、知識を必要としないから。テロにも使われる。
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Comment
2008/08/06 4:27 PM posted by: 原口
おじゃまします。

本当にこれは興味深い本ですよね。

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