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「ブルー・オーシャン戦略」(W・チャン・キム, レネ・モボルニュ)レビュー
評価:
W・チャン・キム,レネ・モボルニュ
ランダムハウス講談社
¥ 1,995
(2005-06-21)
ブルー・オーシャン戦略は、私の周囲でも流行り言葉のように使われています。一言で言えば、競争のない市場を開拓し、新たな需要を創造し、従来の競争を無意味にする。その際、技術革新は伴わず、コストを抑えながら、顧客にとっての価値を高める。ということでしょうか。本書は、ブルーオーシャン戦略のバイブルとされており、一読の価値ありです。特に、初めに競争市場ありき、という観点でマーケティングを考えてきた人には、得るものが多いでしょう。多数の事例が紹介されていて分かりやすいです。本書では書かれてませんでしたが、任天堂のDSやWiiもブルーオーシャンと言えるでしょう。

ただ、疑問に思うこともあります。本書では、過去の多くのブルーオーシャン戦略の事例を取り上げていますが、それらは「『ブルーオーシャン戦略』という方法を採用しよう」という計画のもと実行され、成功したのではないはずです。単に本書が、過去の成功事例だけを都合よく集めて、それらに共通する部分を帰納的に「ブルーオーシャン戦略」と呼んでいるに過ぎないのではないでしょうか。つまり、ブルーオーシャン戦略の中のどのツール・プロセスを適用すればどれくらいの確率で成功する、といった演繹的な意味での保証はできないのではと思うのです。この点について、本書では明確は説明がありません。他の文献に何か書いてあるのでしょうか。識者にご教示いただきたいです。
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【以下、読書メモ/要約】
○ツール:
・戦略キャンバス(価値曲線)
・新しい価値曲線を描くために、要素を「付け加える」「増やす」「取り除く」「減らす」ことを検討する。(4つのアクション→アクションマトリクス)
・価値曲線には、(1)メリハリ、(2)高い独自性、(3)訴求力のあるキャッチフレーズ、の3つが必要。
例:シルク・ドゥ・ソレイユ、イエロー・テイル(ワイン)

○ブルーオーシャンを創造する6つのパス:
1) 代替産業に学ぶ(機能・形状が異なるが同じ目的のもの。例:ネットジェッツ、NTTドコモ・iモード。)
2) 業界内の他の戦略グループから学ぶ。(顧客が別のグループを選ぶ際の決め手は? 例:フィットネスクラブのカーブス)
3) 買い手グループに目を向ける。(購買者と、利用者・意思決定者は別かも。例:ノボ社のインスリン)
4) 補完財や補完サービスを見渡す。(使用中・前後のネック解消を。例:映画館のベビーシッター。ハンガリーのバスNABI社)
5) 機能志向と感性志向を切り替える。(感性志向の事業は簡略化、機能志向はその逆を。例:QBハウス)
6) 将来を見渡す。(後戻りしないトレンドを予測。例:アップル iPod/iTunes、CNNニュース、シスコのルータ)

○戦略キャンバスを描くプロセス:
1. 現在の戦略キャンバスを図示、他社と比較。
2. 現場を見て、現状を把握。
3. 価値曲線を描く。既存顧客・他社顧客・潜在顧客に説明し、フィードバックを得る。
4. PMSマップでビジュアル化(パイオニア/移行者/安住者、の現状と今後)。

○新たな需要を掘り起こす(非顧客層に目を向ける)。
1) より良い選択肢を求める層:他業界に去った顧客の共通点は?
2) 敢えて利用しない層:利用しない理由は?
3) 未開拓層

○戦略を考える正しい順序:
1. 買い手にとっての効用 → 2. 価格 → 3. コスト → 4. 実現への手立て。
・効用を生み出すには:
顧客経験の6ステージ(購入、納品、使用、併用、保守管理、廃棄)において、顧客の生産性、シンプルさ、利便性、リスク、楽しさや好ましいイメージ、環境への優しさ、の観点で新たな効用を検討する。
・価格:
step1. 顧客の密集する価格帯を見極める(同形態、異形態同機能、異機能同目的、の製品・サービスの価格を調査)
step2. 顧客の密集する価格帯の範囲内で価格を決める。(法規制・特許があれば高め、模倣しやすい場合低めに)
・コスト:価格を実現するため、合理化、コスト革新、提携などの手段をとる。
・導入:導入の障壁に対応(従業員、事業パートナー、消費者の抵抗を無くす)。

○その他
・組織面のハードル:影響力の大きい要因に集中する(ティッピングポイント・リーダーシップ)。例:ニューヨーク市警ブラットン本部長。
・社内の協力を得るには、公正なプロセスによる戦略策定が必要(3E:関与、説明、明快な期待内容)
・ブルーオーシャンは模倣が難しい。(従来の理論に染まった人には理解されない。ブランドイメージを損なう。共倒れになる。特許・法規制。社内の文化。顧客の支持。などの問題)
・ブルーオーシャンは、既存企業・新興企業の両方で可能。既存企業の場合、中核事業であることが多い。
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「マーケティング戦略」(和田充夫, 三浦俊彦, 恩蔵直人)レビュー
教わらなかった会計

マーケティング戦略

(和田充夫, 三浦俊彦, 恩蔵直人) 有斐閣 ¥2,100

★★★★★

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教科書的な内容であるため、現場でそのまま応用できるかという点についてはやや疑問が残りますが、それでも具体例も豊富に含まれているので、十分満足できる内容です。上級者には物足りないかもしれませんが、マーケティングの入門書としては最適だと思います。
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「教わらなかった会計」(金児昭)レビュー
教わらなかった会計

教わらなかった会計

(金児昭) 日本経済新聞社 ¥1,470

★★★★

著者は信越化学工業で経理・財務に長年携わっており、しかも同社は財務が優れていることで知られています。その著者が、長年の現場での実務経験に基づいて、興味深いトピックを採り上げて書いているためか、面白く読めます。本文もいいですが、「私の会計史」のコラムも面白いですね。本書と比べると、いわゆる教科書的な本の多くが、机上の空論で成り立っているように思えます。

ただ、話題があちこちに飛んでいるため、体系的な知識を得られるわけではありません。簿記3級程度の知識がないと、かえって混乱するでしょう。
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