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「罪と罰」(ドストエフスキー)レビュー
罪と罰

罪と罰

(ドストエフスキー)岩波書店 ¥798 [上・中・下巻]

★★★★

本書は江川卓訳(岩波文庫版)です。ライバルとして、工藤精一郎訳(新潮文庫版)があります。私が前者を選んだ理由は、訳注が充実していること、地図が載っていること、字の大きさが読みやすそうだったことくらいでしょうか。実際に読んでみると、文体も読みやすいことが分かりました。読む人の趣味の問題かと思いますが、後者はやや表現が硬くて読みにくそうに見えます。

内容については、今さら論評するまでもない名作です。人間の精神の奥の深さや醜さをこれほどまでに徹底的に描いた作品は他にありません。特に、ルージン、スヴィドリガイロフなどのどうしようもない人間の描写がいいですね。主人公(ラスコーリニコフ)に感情移入しながら読むことはなかったにもかかわらず、これだけ面白いのは何なのだろうかと思います。ただ、全般に冗長だったり、話がそれすぎたりすることが多いのが気になりました。
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