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「蹴りたい背中」(綿矢りさ)レビュー
蹴りたい背中

蹴りたい背中

(綿矢りさ) 河出書房新社 ¥1,050

★★★★

賛否両論ありますが、私は次の点で評価したいと思います。まず、何よりも読んでいて楽しめる、面白いということです。綿矢りさ本人も、作品の趣旨について、楽しんで読んでもらえればいいとどこかで言っていましたが、実際読んでいて思わず爆笑してしまうシーンもあったほどでした。また、描写がとてもリアルで秀逸ですね。自分自身の高校生の頃の記憶を呼び起こしてくれました。理科室、陸上部の部室、教室など、それぞれの場所の独特の雰囲気の描き方が上手いです。さらに、この作品には「匂い」に関する描写が要所要所に隠れています。嗅覚って、他の感覚と比べると昔の記憶を強く呼び起こすものなので、ノスタルジックな感覚に拍車をかけてくれました。

「インストール」に続いて映画化でもドラマ化でもしてほしいですね。本作品は、まだまだ描いている世界が狭いですが、作者の潜在能力と将来性が十分に感じられたので、次作がとても楽しみです。
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