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「容疑者Xの献身」(東野圭吾)レビュー
評価:
東野 圭吾
文藝春秋
¥ 1,680
(2005-08-25)
Amazonランキング: 217位
「このミステリーがすごい!」1位(2005年)、直木賞をはじめ、数々のタイトルを獲った作品ということで、期待しながら読み始めました。また、期待を裏切らない素晴らしい作品でした。犯行のトリックから細部の描写に至るまで、数学者である主人公の個性と思想が強く反映されていて、特に理系の人には楽しく読めます。しかし、何よりも、この小説そのものが、全体として冗長な部分がなく、全ての記述が存在理由を持ち、ストーリーの展開にも論理性があって、まさに作品自体が一つの数学の定理の複雑な証明のようでした。

ただ、読後感としては、どこかすっきりしない印象も残りました。例えば、トリックは、よくできているのですが、ミステリーを読み慣れている人なら、途中でトリックの大体の方向性は予想できるかと思います。また、泣ける話でもあるのですが、犯行の動機については、そんな人が本当にいるのか?という釈然としない思いも残ります。人物の背景の説明が少ないため、登場人物への感情移入の度合いが弱かったからかもしれませんが…。さらに贅沢を言えば、ラストの部分にもっとボリュームがあれば、もっと感動的だったかも、とも思います。
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|東野圭吾 | comments(4) | trackbacks(1) |
「秘密」(東野圭吾)レビュー
秘密

秘密

(東野圭吾) 文藝春秋 ¥660

★★★★☆ 

死んだ妻の魂が娘の体に乗り移ってしまうという話です。広末涼子主演で映画化もされましたが、映画はまだ観ていません。「'98ベストミステリー」と帯に書いてあったので、ミステリー小説として読んでみたのですが、どうも読み方が間違っていたようです。純文学として読むべきでした。変わった夫婦生活を描いた作品という意味では、十分面白いです。

ミステリー好きな人が本書をミステリーとして読むと、ラストの部分に違和感と後味の悪さを感じると思います。本書を読む前、「ラストに驚愕の事実が…」と聞いていたため、どんなどんでん返しがあるのかと楽しみにしていたのですが、期待していたものと方向性が違っていました。たしかに予想外の結末ではありましたが…。純文学として、恋愛小説として、ファンタジーとして、完成度の高い素晴らしい作品ではあります。
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|東野圭吾 | comments(2) | trackbacks(1) |
「幻夜」(東野圭吾)レビュー
幻夜

幻夜

(東野圭吾)集英社 ¥1,890

★★★★☆ 

「白夜行」の続編かと思い読んでみました。「白夜行」を読んでいない人でも問題なく楽しめ作品ですが、「白夜行」を読んでからのほうがいいでしょう。本書の美冬と「白夜行」の雪穂をダブらせながら読むと楽しいです。

「白夜行」では、主人公の二人が接する場面を描かない手法が面白かったですが、「幻夜」では、主人公の二人の接触が直接的に描かれています。それでも、「白夜行」と同様の怪しげで不気味な雰囲気を今回も堪能できました。というのも、読んでいる途中で気づいたのですが、本書では、主人公の美冬の本音や心理描写を直接的に記述した部分が無いのです。彼女の発言・行動から様々な想像をかき立てられるところに面白さがあると思います。
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|東野圭吾 | comments(0) | trackbacks(3) |
「白夜行」(東野圭吾)レビュー
白夜行

白夜行

(東野圭吾) 集英社 ¥1,050

★★★★★

今まで読んだミステリー小説の中での最高傑作の一つです。主人公の二人が魅力的で、また二人の描き方にも特徴があり、読むことを止められないほど小説の世界に引きずり込まれました。文字どおり寝食を忘れて読んでしまいました。

二人の男女の絆の描き方として、こんな方法もあるのか・・・と感心させられます。実によく計算されて書かれていると思います。また、70年代から始まって、時代背景とともに二人が大人になっていく過程も面白いですね。昔のパソコンやゲームに関する記述などは懐かしく読めました。しかし、二人が成長し周囲の環境が目まぐるしく変わっても、子供の頃からずっと変わらず抱えているものがあって、そのコントラストがミステリアスでした。最後に全ての謎が解き明かされたときは、本当にショッキングで、読後もしばらく小説の世界から抜けられず呆然としていました。
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|東野圭吾 | comments(0) | trackbacks(1) |