-
スポンサーサイト
-
2011.02.12 Saturday
一定期間更新がないため広告を表示しています
|⇒- | - | - | -
「不毛地帯」(山崎豊子)レビュー
-
2007.01.07 Sunday 01:56
不毛地帯
(山崎豊子) 新潮社 ¥820〜860 [第1巻〜第4巻]
★★★★★
山崎豊子の企業を舞台にした小説としては「華麗なる一族」, 「沈まぬ太陽」も有名ですが、舞台の壮大さという点では本書が一番だと思います。第二次世界大戦で陸軍の大本営参謀を務めた主人公が、シベリア抑留で11年間にわたり過酷な経験をし、その後商社に入社し、数々の国際商戦で活躍する物語です。元伊藤忠商事の瀬島龍三氏がモデルと言われています。
本書からは以下の教訓が得られます。第一に、シベリア抑留がいかに過酷で理不尽なものであったかということです。恥ずかしながら、シベリア抑留がどういうものか、本書を読むまでほとんど知りませんでした。冬の寒さや強制労働の厳しさだけでなく、日本で待つ家族の心境も細かく描写されています。決して風化させてはならない問題だと気付かされます。
第二に、これは学生や新入社員などの若い人に役に立つと思うのですが、交渉術やビジネスで成功するために必要なことが学べると思います。特に終盤の石油ビジネスに関する話では、キーパーソンと接触することの重要性を認識させられます。また、一方で、本書全般を通じて、仕事を最優先にして生きることがいかに虚しいかということも思い知らされます。
→ Amazonで詳しく見る
-
「大地の子」(山崎豊子)レビュー
-
2005.09.24 Saturday 01:27
大地の子
(山崎豊子) 文芸春秋 ¥610 [第1巻〜第4巻]
★★★★☆
中国残留孤児の物語です。また、文化大革命の時代の中国の雰囲気が想像できる作品です。一気に読んでしまいました。こういう難しい題材でこれだけリアリティのある小説が書けるとは、いつもながら山崎豊子には頭が下がる思いです。
特に印象的だったのは、主人公が日本の記憶を徐々に取り戻す過程で、中国と日本の間で気持ちが揺れ動くところですね。また、鉄鋼の工場の技術的な描写も読み応えあります。ただ、主人公がよく出来すぎた人間であるので、やや現実感がないように思われる部分もありましたが…。
本書は、NHKでドラマ化されています。再放送を見ましたが、原作を忠実に再現しようと努力されているようで、合格点でした。一部、テレビで放送しにくいようなドロドロした部分が抜けていたようですが。本書を読んでドラマを見ると、中国に旅行に行きたくなりますね。
→ Amazonで詳しく見る
※関連商品… NHKドラマDVD 「大地の子 全集」
-
「沈まぬ太陽」(山崎豊子)レビュー
-
2004.12.01 Wednesday 23:42
沈まぬ太陽
(山崎豊子) 新潮社 ¥620〜700 [第1巻〜第5巻]
★★★★★
読む前は、実話とフィクションの境界を想像しながら読もうと構えていましたが、そんなことは意識していられないほど強烈なメッセージ性の強い作品でした。読後しばらくの間、国内線はJALを避けてANAに乗ろうと思ったほどの衝撃でした。
本書について、主人公の恩地の生き方を賞賛する論調をよく見かけますが、私はむしろ、恩地のアフリカやイランでの細かな苦労の積み重ねに絶える姿に心を動かされました。サラリーマンはあれくらい強くなければならないのかと。
また、第三巻の墜落事故に関しては、犠牲者や遺族の人の多くが実名で登場していることもあり、涙腺を緩めずに読むのが困難でした。「大地の子」や「白い巨塔」と同様に映像化してほしい作品ですが、無理な注文でしょうか。
◆こんな人におすすめ … 労働組合・海外赴任・航空業界に関心がある、または関わっている人。
◆効用 … 理想を貫いて仕事をするという価値観を認めることができる。
→ Amazonで詳しく見る
-
「白い巨塔」(山崎豊子)レビュー
-
2004.11.23 Tuesday 05:48
白い巨塔
(山崎豊子) 新潮社 ¥620〜¥740 [第1巻〜第5巻]
★★★★★
山崎豊子の小説で初めて読んだ作品でした。あまりに描写が具体的で、専門用語も多用されていたため、ノンフィクションかと錯覚しそうになりました。取材・調査に膨大な時間と手間をかけなければ絶対に書けないほどの大作です。そのため、医療に関する様々な情報を提供してくれる作品でもあります。
昭和三十年代の大学病院が舞台になっていますが、古い感じはしませんでした。問題の本質が今も昔も変わっていないからでしょうか。特に、大学病院の実態・医療過誤に感心がある人におすすめできる本です。また、病院・医者との接し方について改めて考えるきっかけにもなります。
最近、フジテレビでドラマ化されました。ドラマを先に見た人が本書を読んでみても、ドラマにはないリアリティに圧倒されることでしょう。財前のキャラクターはドラマと小説であまり変わりませんが、里見は微妙に違うと思います。
→ Amazonで詳しく見る
- ←back 1/1 pages next→