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「あかんべえ」(宮部みゆき)レビュー
宮部みゆきの本は何冊か読んでいますが、時代小説はまだ読んでいませんでした。一冊くらい読んでみようと思って、評判のいい本書を選んで読んでみたのですが、どうも私の趣味に合わないようでした。幽霊がたくさん出てくるファンタジーもので、現実には起こりえない話でした。もっとも、ファンタジー自体が嫌いなわけではありません。「蒲生邸事件」は、タイムスリップを題材にしたファンタジーですが、宮部みゆきの作品の中では一番気に入っています。しかし、本書は「蒲生邸事件」のように好きになれませんでした。

楽しめなかった要因としては、第一に、ストーリーや、各登場人物の行動・発言に、納得できないものが多かったことです。例えば、なぜ、主人公のおりんには全ての幽霊が見えて、他の人には、全く見えなかったり、一部しか見えなかったりするのか。これが本書の最大のミステリーだと思って、あっと驚く種明かしがあるかと期待していたのですが、期待はずれでした。また、お化けさん達が成仏できる場合とできない場合の違いにも、重大な謎が隠されているのかと思って読んでいたのですが、最後まですっきりしませんでした。

ではミステリー的な部分以外で楽しめるところが多かったかというと、そうでもなくて、特にストーリーの前半から中盤にかけては、変化に乏しく、かなり退屈でした。終盤に急展開するところはまあまあ面白くて、のめりこんで読むことができたのですが、最後の終わり方がすっきりしませんでした。
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|宮部みゆき | comments(1) | trackbacks(0) |
「蒲生邸事件」(宮部みゆき)レビュー
蒲生邸事件

蒲生邸事件

(宮部みゆき)文芸春秋 ¥900

★★★★★

ミステリーであり、SFであり、歴史小説でもありますが、歴史小説として印象に残りました。宮部みゆきの作品の中ではベストだと思います。受験生が二・二六事件のあった時代にタイムスリップする話ですが、当時の時代背景や町の様子、人物の心情など、実にリアルに描けていると思います。

感心したのは、現代に生まれ育った主人公が、昭和初期の時代や当時の人々に敬意を払い、溶け込もうと努力していたところです。過去のどの時代の人も、その時代を精一杯生きて世の中を形成してきた、その積み重ねの上に今の時代があるのだということを、思い起こさせてくれました。主人公が、当時のことを、いい時代じゃないか・・・と言っていたのが印象的でした。

ストーリーとしては、犯人探しのようなミステリー的な部分や、恋愛小説的な部分もあり、いろんな読み方ができて楽しいです。特にラストのシーンは、何度も読み返したくなるほど、感情移入してしまいました。
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|宮部みゆき | comments(0) | trackbacks(1) |
「模倣犯」(宮部みゆき)レビュー
模倣犯

模倣犯

(宮部みゆき) 小学館 ¥1,995 [上巻・下巻]

★★★★

大掛かりな小説ですね。複数の殺人事件を中心に、被害者・加害者双方の心理描写や生い立ちに至るまで、かなり細かく描かれています。また、ルポライターやテレビなど、マスコミ関係者が重要な役割を果たすところも斬新で、長編でも飽きることなく読めました。

ただ、やや冗長な印象を受けました。特に中盤は間延びした印象を受けました。逆に、後半は、話が急展開してくるあたりで、これからどうなるのだろう?とワクワクしているうちにあっさりと結末を迎えてしまったような気もします。これだけ長い話だったのだから、終盤はもっと盛り上げてほしかったのですが。きっと、作者が伝えたかったことが、冗長な中盤の部分、特に犯人の犯行動機や生い立ちに関する部分に書かれていたのだろうと想像します。
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|宮部みゆき | comments(2) | trackbacks(1) |
「理由」(宮部みゆき)レビュー
理由

理由

(宮部みゆき) 新潮社 ¥900

★★★★

直木賞受賞作ということもあり、宮部みゆきの代表作という人もいますが、宮部作品の中ではそれほどでも…というのが率直な印象です。もちろん、さすが宮部みゆき…と言えるほど、一気に読ませる面白さのある作品ではあります。殺人事件をノンフィクション的な手法で書かれているところには、一般のミステリーにはない新鮮さがあります。特に印象的なのは、一つの事件には、その事件そのものを中心にして同心円状に、被害者・加害者・目撃者・周辺人物など、実に多くの関係者が存在すること、また彼らが様々な形で事件に関わっているということをリアルに描いているところです。

客観的な描写が多いためか、特定の人物に感情移入しながら読むという形にはなりませんでした。そのため、何かすっきりしない消化不良のような読後感がありましたね。映画化されるそうですが、やはり誰が主人公なのかあえて明確にしないようにキャストの紹介をしているのも、よく理解できますね。
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「火車」(宮部みゆき)レビュー
火車

火車

(宮部みゆき) 新潮社 ¥900

★★★★

私がミステリーを読み始めた頃に読んだ思い出の本の一つです。とにかくよくできた話ですね。登場人物(特に主人公の女性)の心理状態を中心に考えながら読むと、どんどん引き込まれるような感じです。また、宮部みゆき特有の、登場人物の一人ひとりに対する優しさのようなものを感じながら読むのもいいかと思います。宮部ファンなら必ず読むべき一冊だと思います。

ただ、波乱万丈のドロドロしたミステリーを期待すると、がっかりするかもしれません。それほど複雑なトリックがあるわけではないので…。クレジットカードの恐さなどが分かって勉強になる部分もあります。
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|宮部みゆき | comments(4) | trackbacks(3) |